その手に触れたくて


週末を挟んだ月曜日の朝、なんだか頭がボーっとしていまいち冴えなかった。

身体がダルイ。


「…はよ」


朝、玄関を出て外でボーっと待つあたしの耳に隼人の声が耳に入る。


「あ、おはよ」

「どした?」


週末の間にすっかり元気になった隼人は自転車に跨ったまま、あたしの顔を覗き込む。


「うん、何か頭がボーっとする」


そう言ってあたしは隼人の後ろに横向きで座る。


「しんどいのか?」


隼人は心配そうな表情であたしを見た。


「うーん…しんどいと言うかダルイ。うん、けど大丈夫だよ。行こ?」


隼人を見上げたあたしは薄らと笑い、


「しんどくなったら言えよ」

「うん」


頷くあたしに隼人はペダルを踏みしめた。

隼人の腰に腕を回す。寒いこの季節には丁度いいくらいに隼人の身体は温かかった。

学校に着くまでの間、あたしは何も口を開く事はなかった。ただ隼人の背中に頭をくっ付けて朝の景色をぼんやりと眺めてた。