〈んー…まぁ、喧嘩はダメだけどさ、でもそれが理由で別れるとかできないな、あたしは…〉
〈何で?〉
〈何でって、好きだから…〉
そう言って美優さんは優しく微笑んだ。
〈…って言うか、それがあたしには分かんない。あたしだったら絶対お兄ちゃんみたいな人と付き合わないし。例え、付き合った時に危ない人だって知ったら絶対別れるし!〉
〈でも…好きになったらそんなの関係なくなっちゃうんじゃないの?…多分ね…あたしがそうだから。それにもし誰かに反対されても、あたしは別れないよ〉
そう言って美優さんと会話したのを覚えてる。だから、それを思い出した今、頭の隅の方で隼人の顔が浮かんだ。
美優さんが言ってた言葉通り、あたしはその言葉に納得した。
“それが理由で別れるとかできない”
まさに今、あたしはそれなんだと思う。例え隼人が何かをしててもお兄ちゃんが隼人の事を反対してても、あたしが隼人の事を好きなのには変わりない。
揺れるユリの花が、なんだかもう一度、美優さんが語り掛けているみたいだった。
Γ…また来ます」
暫くしてから、あたしはそう呟いて立ち上がり、あたしは隼人が居る病院へと向かった。



