行きたい所に行く途中、あたしは手に持っていた制服をクリーニングに出し、その後、花屋さんに寄って花を買い、自転車を漕いだ。
30分くらい漕いで着いた場所は、もう1年くらいは来ていなかった場所。
…――美優さんのお墓。
自転車を停めて地面に敷き詰めてある砂利を踏みしめ、中央にある墓石を目の前にした途端、あたしの足がピタッと止まった。
墓石の前にある花入れにユリの花が2本、添えられていた。
その花を見て、あたしはすぐに自分の手元に視線を落とす。あたしの手にはお墓に添えられている花と全く同じユリの花。
それを見てすぐ誰が来たのかは一瞬にして分かった。
Γ…お兄ちゃん、来たんだ…」
ポツリと言葉を漏らし、止めていた足をあたしはゆっくりと進ませ、2本入っている花入れの中にもう2本ユリの花を入れ、あたしはその場にしゃがみ込んだ。
美優さんが大好きだったユリの花。2本と言うのは、お兄ちゃんと美優さんって意味で備えられてある。
鞄の中から線香を取り出し、それに火を点け線香置きにそれを置いた。
Γ全然、来てなくてすみません。…お久し振りです美優さん。美月です」
墓石の前で手を合わせたあたしは線香から一直線に伸びていく白い煙を見ながら、あたしはそう呟いた。



