その手に触れたくて


どれくらいベッドに居たのかも分からないくらい寝てた。寝てたと言うよりも、ただぼんやり天井を見つめてた。


とりあえず起き上がって壁に掛けてある時計を見ると10時を過ぎてた。

身体が重い。歩く足取りが異様に重くて前に進むのも困難になっている。


お兄ちゃんと言い合った後、風呂に入っていなかったあたしはとりあえず先にお風呂に入った。

風呂に入った後、リビングに向かうとテーブルにはママが作ったサンドイッチが置かれていて、あたしはそれを一口食べた。


だけどその一口が喉を通らなくて、ママには悪いけど手に持っていたサンドイッチをもう一度、お皿に置いた。


部屋に戻ってすぐ、あたしは床の上に散らばっている制服をジッと見つめる。


Γクリーニングに出さなきゃ…」


制服には隼人の血がついていて、それだけで昨日の出来事がフラッシュバックして蘇ってくる。

怖くなったあたしは忘れる様に軽く首を左右に振り、散らばっている制服をかき集めてビニール袋に押し込んだ。


今から行きたい所がある。


だからあたしはクローゼットの中から服を取り出し、それに着替えた。…と、同時に鞄の中から密かに聞こえるメロディーにあたしは反射的にそっちに目を向けた。


鞄の中から鳴り続ける携帯を取り出し、あたしは画面を見る。



…夏美――…