その手に触れたくて


Γなら、もう一度言う。あの男と今すぐ別れろ」


さっきよりも少し大きな声で言ったお兄ちゃんにあたしは苛立ち始めた。


Γ何で?」

Γ何でとかそんな理由はどうでもいい」

Γ何それ…。理由も言えないのに別れろって言うの?」

Γあぁ、そうだ」

Γ何それ!!意味分かんないよ!!理由も言えないのに、別れろって言われて“はい分かりました”なんて別れる人どこに居んの!?」


だんだん荒ただしくなっていくあたしの声に、お兄ちゃんの眉がさっきよりもグッと寄ったのが分かった。

何でそこまであたしが言われてんのかが分かんない。なんでそれをお兄ちゃんに決められているのかが分かんない。

お兄ちゃんは短くなったタバコを灰皿に押し潰し、


Γお前はアイツと居たらロクな事ねぇ」


そう言ったお兄ちゃんはまた新しいタバコを口にくわえ火を点けた。


Γ…ってか、それってお兄ちゃんが決める事?分かってもないような事、言わないでよ!!何でそうやって決めつけんの?そんな事、お兄ちゃんに言われたくない!!」


あたしは力一杯張り裂けんで、両手に拳を作り、目の前に居るお兄ちゃんをおもいっきり睨み付ける。


そんなあたしをチラッと見たお兄ちゃんは、