その手に触れたくて


お兄ちゃんのこう言う所、ほんっとにうんざりする。

偉そうに物事を言ってくる所とか、いちいち口出ししてくる所とか…お兄ちゃんはあたしの親な訳?これならお父さんに怒られてるほうがマシだよ…


…なんでお父さん居なくなっちゃったの?

ねぇ、お父さん…


Γお前さ、」


不意に聞こえたお兄ちゃんの声に、あたしは落としていた視線を上げ、お兄ちゃんを身構えた。

お兄ちゃんはタバコの煙を勢いよく吐き出し、その口から出てきた煙を見上げて眺め言葉を続ける。


Γあの男とどう言う関係だ?」


隼人を初めて見た時に告げられた言葉を、またお兄ちゃんは吐き出す。

そんなお兄ちゃんに無言を突き通すあたしに、


Γ付き合ってんのなら、今すぐ別れろ」


有りもしない事を命令口調でお兄ちゃんは言ってきた。


Γ…何、言ってんのか…分かんない」


少しの沈黙の後、あたしはお兄ちゃんに向かってそう言葉を吐き出す。

お兄ちゃんは頬杖を付きながらタバコを吸ってて、あたしを見ようともしなかった。