Γは?馬鹿って何よ!!だいたい泊めるか泊めないかを響が決める権利なんてないじゃん」
Γお前がいっつも美月を甘やかすから、コイツがお前にばっかり頼りすがるんだろうが」
Γ別にいいじゃん」
Γよくねぇよ。美月に言われたからって何でもかんでも受け答えしてんじゃねぇよ」
静まり返った廊下に凛さんとお兄ちゃんの言い合いの声が響き渡る。
これも全部きっかけを作ったのはこのあたしだ…
Γおい、こんな所で止めろよ。マジで…」
割り込んで入ってきた悠真さんの声にお兄ちゃんは小さく舌打ちをし、軽く息を吐いた。
Γつーか、今日はマジ、コイツをお前の家に泊めるのは無理だ」
そう言ったお兄ちゃんは凛さんの後ろに隠れているあたしの所まで来て、顎で出入口を差した。
“帰るぞ”って目で言われてんだけど、どうしても隼人が居るこの病院から足を進ませたくなかった。
お兄ちゃんが言ってた“話がある”ってのは、もう隼人の話ししかなくて、その話しを今からすると思えばドッと嫌な空気があたしを押しつぶしてた。
足を進ませて行くお兄ちゃんの背後から恐る恐る凛さんに視線を送ると、凛さんは申し訳なさそうに顔を顰め、両手を顔の前で合わせた。
そんな凛さんにあたしはゆっくりと首を振る。
だって…凛さんが悪いわけじゃないから――…



