その手に触れたくて


「えっ!!ほんとに?」


思わず顔から笑みが零れ、あたしは声を上げていた。


「あぁ。教科書借りたしな」

「って言っても隼人、借りた美月の顔すら覚えてなかったじゃーん。」


夏美は笑いながら隼人を見て言う。

そんな夏美の言った言葉に思わずあたしは苦笑いをした。


「夏美は黙れ」


そう言って、隼人は飲みおわった空き缶の中にタバコを押し入れる。


「はい美月。良かったねぇメロンパン」


夏美は微笑みながら、あたしの手にメロンパンを置いた。


「うん。ありがと」


隼人を見て言うと「そんなに好きなのかよ」と呆れ気味に言ってフッと笑った。

その笑った顔が不覚にも格好いいと思ってしまった。


「飲み物は?」


そう直司に聞かれ、あたしは首を横に振った。


メロンパンがなかった時点で飲み物まで買っていない。


「敦也、あるんじゃね?」


不意に隼人が言った敦也と言うのは後一人の事だろう。

でも飲み物まで貰う訳にはいかないあたしは…