その手に触れたくて


「メロンパンあるぞ」


突然そう言ってきた直司に思わずあたしと夏美は声を上げていた。


「「えっっ!!」」


ほぼ同時と言っていいほどのあたしと夏美の声。

そんなあたし達の声に直司と隼人はあたし達に目を向ける。


「どこ?どこなのメロンパン。」


夏美は辺りをキョロキョロしながら見渡し、あたしも同じように辺りを見渡した。


「颯太(そうた)の横にある」


颯太って言われても2人の内、どちらか分かんない。

だけど夏美は「颯ちゃん、メロンパンちょーだい!!」と言って手を伸ばした。


颯ちゃんと言う人は隼人の隣に居る人で、後の一人の人と車の雑誌を夢中で見てる。

颯ちゃんは雑誌から目線を外し、夏美が掴んだメロンパンを見て口を開いた。


「あー、それ俺のじゃないよ。隼人のん」


そう言われた瞬間、なぜかあたしの目は隼人に移ってた。


煙を吐き出した隼人と一瞬目が合い、隼人はフッと馬鹿っぽく笑った。


「やるよ。」