その手に触れたくて


「だよねー。隼人が教科書持ってくるなんておかしいと思ってたんだよね。」


夏美はそう言いながら、何故かその場所に腰を下ろし食べかけのサンドイッチを口に含んだ。


え?夏美は何故そこに座るの?


戸惑うあたしに夏美は少し見上げてポンポンと地面を叩いた。


「だいたい隼人が持ってくるわけねぇだろ」


鼻で笑いながら言ってくる直司をチラッと見ながら、あたしは夏美の横に腰を下ろす。


「まぁ、確かにあの英語教師うっさいからねぇ…」


夏美は呟きながら一緒に買っていた紙パックのカフェオレにストローを刺した。


「あれ?美月食べないの?もしかしてまだメロンパンの事思い詰めてるの?」



クスクス笑いながら言ってくる夏美に、「メロンパンがどうした?」と、直司は少し首を傾げた。


「美月ねぇ…、メロンパンが大好きなの。それがね今日なかったんだ」


ちょっと面白がって言っている夏美にムッとし、思わずあたしは頬を膨らませ夏美を見た。