その手に触れたくて


開けた途端、気持ちいい風が頬を掠め屋上から笑い声が飛んできた。


「アイツでしょ?」


顔を覗かせた夏美はそう言って指差し、チラッとあたしに目を向けたと思うと、すぐに屋上に目を移す。

夏美の横からあたしも顔を覗かせると何人かのグループの輪があって、その中でも目についたのが一番手前に居る4人の男達だった。


その中には夏美が言っていた直司って人もいた。


あれ?直司って人、来てたっけ?

いや…、確かに見てないし教室の中では見ていない…。なのに何でいるのか…


そんな疑問に浸っていると、あたしの身体が前にのめり込むように倒れかけ、思わず声を出していた。


「わぁっ!!」


あたしの足はもつれながら前に進んで行く。

その原因は夏美があたしの腕を掴んで足を進めている所為で…


「隼人!!」


突然、夏美は誰かの名前を大声で叫んだ。


「ちょ、夏美…ッ」


そんなあたしの声など無視して夏美は足を進め、男達の前で足を止めた。