その手に触れたくて


「それだけじゃ分からないでしょ」


そう言ってくる夏美は正論だ。

でもホントに分かんない。ただ直司って人の机の中をガサガサしてて…って、あっ!!


「そうそう、直司って人の机聞かれて、机の中ガサガサしてた」

「ナオ?」


そう言ってくる夏美に少し目を見開く。


「夏美、知ってるの?」

「まぁね。中学一緒だったし」

「そのね、直司って人のツレっぽい」

「あー…、」


夏美は少し語尾を伸ばせながらベンチから立ち上がり、

「行こ」

そう言って足を進ませた。


「行くって何処に?」

「まぁ来たら分かるよ」


夏美はうっすら微笑みながらあたしを見て、校舎の中に入って行く。

校舎の中に入って階段を上っていく夏美の後を着いて行きながら、何処だろ…と考えていた。


着いた先は今まで一度も行った事のない屋上で、そんな屋上は大概3年生が占めていると言う場所。

そんな所を夏美は軽々と行き、重い鉄のドアを開けた。