その手に触れたくて


初めてだった。

キスをするのが初めてだった。


でも隼人には彼女がいて…

だめっって思ってんだけど、あたしの身体は意地悪で隼人に反応していく。


どうしていいのか分かんないまま、あたしの舌は隼人と絡み合い、隼人は器用にからめとっていく。



ダメ…
ダメ…
ダメ…


「隼人…」


少しだけ隼人の身体を押すと隼人はあたしの唇から離し後頭部を抑えたままあたしを見つめる。

唇が少し震える。

でもそれ以前に隼人の反対側の手がすでにあたしのシャツの中に入っていて、背中を撫でる感覚が凄く分かった。


ダメ…絶対に流されちゃダメ。


“男ってすぐ浮気するよね”

夏美と出会った当初に夏美は口癖のように言っていた。


今の現状ってあたしが浮気相手だよね…。イヤ、絶対にイヤ…

でもそう思っていても。