「私も…ずっと…ずっと…
雅樹のことが好きだった…
ずっと…本当にずっと…。」

「そうか…。
ありがとう。」

自然と俺の腕には力が込められていった。

「朝倉が現れてから、ずっと理子の家のことを気にしていた。
朝倉のほうが家柄的にもずっとつり合うっていうのは分かっていた。
理子のご両親も、朝倉との縁談を薦めていたわけだし。
でも…そういう迷いよりも、理子への気持ちを大切にしろってあいつらが言ってくれたんだ。」

「悠夜たちね?」

「あいつらには感謝しても感謝しきれないな。
俺が今、こうやって理子を抱きしめられているのも、全てあいつらが背中を押してくれたからだ。」

「そう…ね。
今年は…最高のクリスマスだわ。
最高のプレゼントも貰ったし。」

「俺…何もあげてないよな?」

「『夜想曲』
あれで充分よ。」

「あんなんでいいのか?他にももっと…」

「今、こうしていられることが…
本当に幸せだから。」

そう言って俺に体をあずけてきた理子を、俺は一層強く抱きしめた。