*Masaki side*


「どこまで…行くの…?」


少し息が上がって上ずった理子の声で俺は我に返った。


「悪い…大丈夫か…?」

「うん…」


少し気まずそうに俯いた。
仕方ない。


俺も公衆の面前であんなことを言った自分が信じられなかった。


「びっくりしたわ…。」

「え…?」

「雅樹があの曲を覚えていたなんて。」

「ああ…『夜想曲』か。」

「あの時私初めて雅樹のこと…」

「あの時初めて、俺は理子のことを好きだって自覚した。」

「え…?」

「泣いている顔を見ていられなかった。
お前が泣かなくて済むように、ずっと俺が側にいて守ってやりたいって…
そう思ったんだ…。」

「…………。」

「理子…?」