＊　＊　＊

「朝倉さん。すみませんね。こんなことまでしちゃって。」

全然悪いと思ってないような口ぶりで言う悠夜。

「でも朝倉さんが悪いんだよ？
だって家の力を使おうとしたでしょ？自分の力じゃなくて。
恋愛に自分以外の力を使っちゃだめだよ。
もし、朝倉さんが真っ向勝負で理子にぶつかっていったんだったらあたしたちもこんなに手の込んだことしなかったのに。」

とか言ってこの状況に一番満足している美咲。

「ま、理子のことは諦めるしかないって。
だって雅樹が一番理子のこと分かってるし。
なー？」

「当たり前だろ？
だって雅樹にとって一番大切にな人間なんだから。理子は。」

「どうやらそのようだね。
あれだけ言っても、想いの強さが勝つなんて…。」

「朝倉さんも良い恋愛した方がいいよ？
自分が本気になれるようなさ。
自分につり合うつり合わないじゃなくて、自分が一緒にいて心安らげるような人と一緒にいられるように。」

朝倉にとって、美咲のこの言葉は決定打だったようだ。

「そうだね。」

朝倉は少し切なげにそう呟いた。