*Masaki side*


理子をこの手から離してしまった。

でも、理子の香りだけは残っているような気がしていた。

抱きしめたあの感触が抜けない。

あのままずっと抱きしめていたかった。

理子を朝倉なんかに渡したくなんてない。

でも朝倉の言う
「身分の違い」
を感じないわけでもなかった。

むしろ朝倉の言っていることは正しくもあった。

縁談をぶち壊して幸せになれるのは誰なんだ?

俺の自己満足としか言いようがない。

だってそうだろ?


答えは未だ見つかっていないのか?

本当は見つかっているのにそれを無視したいのか?


俺の頭は混乱していた。