きみがあたしに残したものは

吐き気がするほど

いろあざやか


どうしてだろう

どんな大切なことも

記憶の檻を

たやすく抜け出して

決して

ここへは戻らないのに


きみがこの檻に放り込んだものは

いちばん外側に鎮座して

あたしを

じっと見て


おこっているの?

きみのてを握った

安易なあたしに


きみのてを

はなして

寄りそう

きみを

突き放したことを


でもね

嘘じゃなかった


きみにふれたいと思ったこと

きみに愛されたいと願ったこと

だれよりも

きみがいちばんだと

信じたこと


わかってるよ

そんな目で見なくても


わるいのはあたし


きみを愛し続けられなかった

あたし


いつまでも優しい目をして

あたしをみないで


色を失った多くのなかで

どこまでもあざやかに


いつまでも

その目に怯えてからだを震わせる


わるいのはあたし

だから

あたしを逃がして


ほかの思い出たちと

同じ色をして


吐いても

吐いても

なくならないこの罪を

赦して


きらい

だいきらいだよ


きらいなきみを

忘れられないの