ベッドから起き上がり、ドアを開けて外に出ても
透依は起きる気配を見せなかった。

眠ってなんかいないのに、私を引き止めようともしなかったのは

…もう嫌われた証拠かもしれない。ね。





とにかく実家に行ってみよう。

お母さんと過ごして、私が最も幸せだった子供の頃を思い出せれば落ち着くんじゃないかな。

そしたら素直に警察に行けると思う。

透依には後でドコに言っていたか説明すれば分かってくれると思う。

長い髪をおろし、周りに顔を見られないように下を向きながら実家へと向かった。



───不安だった。

お義父さんに会ってしまったらどうしよう。

あの人達がうちに来たせいで壊されてしまった私の家庭。

家族が増えて得るものなんか何もなかった。

あの人達は…奪っていっただけ。

生まれ育った街。見慣れた景色も数年訪れないだけで少しずつ変化していた。

違和感を感じたのは街だけじゃなかった…




実家に近づくにつれ、道路には車の渋滞ができて、人がたくさん歩いてる。

みんなが同じように携帯片手に写メや動画を撮っていた被写体は




「…どうして…?」


炎に包まれた私の家だった。