プライベート・スカイ

アズマの言葉に、あたしは驚いた。

逃げるって?
ほんの数年って?

「に、逃げる!?二人で逃げるってこと?それとも佳依って人も一緒?」

「いや、佳依は行かない。けど俺達が捕まらなければ佳依は平気なはずだ」

「…本気なの?」

レイナちゃんが不安そうにアズマの顔を見上げた。

「前にみんなで言ってたよな?もしヤバくなったら海外にでも逃げるかって」

「言ってたけど…日本を出られるとは思わないわ」

「佳依が偽造パスポートを用意してるさ。何年かして落ち着いたら日本に戻ればいい。金もあるし」

「無理よ!私は捕まるわ!何年も逃げるなんてムリなのよ!!」

「じゃ、お前はなんで雨峰んちに逃げてきてんだよ?矛盾してねぇ?捕まりたくねぇんだろ?」

「でも、だって…いきなりだったから気が動転して…気づいたら荷物まとめて逃げてたんだもん」

「じゃ行こう」

アズマがレイナちゃんの手首を掴むと、レイナちゃんは抵抗した。

「嫌!そんなの嫌だってば!」

「アズマ!レイナちゃん嫌がってるじゃない!今日はもう飛行機飛ばないよね?
レイナちゃんにゆっくり考える時間をあげたらどう?だから今日は帰って!一晩くらい平気でしょ?」