「じゃ、これ」

そう言って、アズマはあたしに厚みのある封筒を手渡した。

「なにこれ?」

「バイト代」

「…海の家の?」

「そーだよ」

ふーん。あれって、ちゃんとバイト代くれるんだー

まぁ当たり前か。あたし頑張ったもんなぁ。こんなに黒くなっちゃったし…

封筒の中身を見て、あたしは『バイト代』と言っていた意味がわからなかった。

「な、な、ナニコレ!?アズマ!バイト代って…」

中に入っていたのは…もちろんお金。でも額が変。

封筒から出してみると、お札は帯をした状態だった。

──と、言うことは

100万円…!?

「なに?って、だからバイト代だよ」

「何かの間違いでしょ?!だって海の家だよ?!しかもあたしバイトだし、正社員じゃないしさ~」

「海の家の正社員ってなんだよ!?あるわけねーだろ!」

「だって、あたし海の家で…ラーメン作ったりカレー作ったり焼きそば作ったり
お客さんの相手したり、掃除したり…」

フツーの仕事。陸で言えばコンビニとか居酒屋でバイトしてたみたいな仕事しかしてないのに

この金額はおかしいでしょ!!

「お前、マジに気づかなかったの?俺、あそこで薬売ってたんだけど」