草食系肉食男子と夢子チャン

真っ赤な顔の夢子とただ立ち尽くす子犬…。



ガキにナメられたくねぇ…。



「じゃあな」

「うんっ…」



そそくさと塾に入って行った夢子。



俺、子犬に睨まれてる…。



「見せ付けても何の効果もナイし。俺が吉村さんを好きな気持ちは変わんないから」

「へぇ~、だから?」

「お前には負けない!!」

「あいつは俺しかムリだ」

「何を根拠にそんな事言うんだよ。人の気持ちなんかわかんないだろ」



ガキが。



夢子を好きになったのが運の尽きだな。



俺に勝てるとでも思ってんのか?



「勘違いしてるみてぇだから教えてやるよ」

「何が勘違いだよ」

「あいつが俺しかダメな理由?心じゃなくて…身体が離れらんねぇんだよ」



なんちゃって。



子犬にそう囁いてから車に戻った。



放心中の子犬の顔が笑える…。



俺から夢子を奪うなんて30年早い。