バッと抱きしめてた腕を離した。



ポロッと落ちた夢子の涙で正気に戻った。



「バカ…」

「待て夢子っ!!」



立ち去る夢子を追い掛けようとしたけど…。



強い力でリエに抱き着かれた…。



「行かないで…」

「ムリだ…」

「お願いだから一人にしないで!!」



泣いて縋るリエと姿は見えないけど絶対泣いてる夢子…。



俺はどっちを選びたいんだ?



「若様!!夢チャンっ…」

「零…夢子を…頼む…」

「言ってる事がわかってるんですか!?」

「あぁ、悪い…」



零が夢子を追い掛けた。



最低な事してるってわかってる…。



ごめん夢子…。



俺はリエをほっとけない…。



「律汰…」

「何も言うな…」

「ごめんなさい…」

「もうイイ…。もう何とも思ってねぇから…」

「好き…あたしまだ律汰が好きっ…」



心なんか壊れてなくなればイイ…。