【夢】



カタカタ震えるコーヒーカップ…。



目の前には綺麗なご婦人と前に見た事のあるリツのお父さん…。



リツと尚人君に挟まれる形で座ってるあたしはさっきから緊張し過ぎ…。



「尚人はどうだ?」

「飲み込み早いし、まぁ順調だよな?」



ニコニコして頷く尚人君。



言っときますが、この兄弟は勉強なんかしてませんよ?



尚人君は影で何してるかわかんないし、リツは月に1回程しか様子を見に行ってませんから。



「夢子さんのお父さんはどちらにお勤めなのかしら?」



さっきから目付きの鋭いお母様がそう話しかけてきた…。



あたし、夢子じゃなくて夢です…。



「夢子ん家は母子家庭。何か問題でも?」

「それは失礼、それならお母様は何をなさってる方かしら」

「工場で夜勤専門ですけど何か?」



どうしてリツはお母さんにだけ敬語なんだろう…。



一応育ての親なんだよね…。