両親の後から付いていく花音はすりガラスの大きな扉に入る前に振り返って辺りを見回した。



――カイトさんが来てくれるなんて夢のまた夢だよね・・・・。



花音は深い溜息を吐くと先で待っている両親の元へ行った。






カイトは柱の影に立ってそんな花音を見ていた。



――花音ちゃん、フランスで俺みたいな男に捕まってはいけないよ。


少し痩せてしまった花音に胸を痛め、カイトは柱の影から見守っていた。


花音の姿が大きなすりガラスのドアの向こうへ消えて行く。



「さようなら 花音ちゃん」


カイトは自分に言い聞かせるように呟いたのだった。