『小夜子、話がある SIONへ来てくれないか?』


小夜子に電話が来たのは花音が電話を一日中待ち続けた日で、電話を貰った小夜子はドキドキしながらも声が聞けて嬉しかった。


営業時間ではない今は午後3時で従業員たちは居ない。



「SION」のドアを押すと簡単に開き、小夜子は事務所へ向かった。




事務所をノックしようと手をあげると、中から扉が開いた。



「カイト」


「どうぞ」


ノブに手をかけたままカイトは小夜子を招き入れる。


「座って」


黒革のソファーに小夜子を座らすと、部屋の隅にあるコーヒーメーカーに行き出来たてのコーヒーを入れて戻ってきた。



コーヒーを入れていると花音にカフェオレを作ったことを思い出してしまう。