「今話しておきたい そうしないといつか聞きたくなる時が来るだろうし、小夜子は莉緒ちゃんの友達だからこれから会う機会もあるかもしれない そういう時に勘ぐってほしくないんだ」



カイトの瞳に嘘偽りはないように見える。


だから話を聞くのが怖い。



どうしてこれほどまでに小夜子の事を気にしてしまうのかわからない花音だった。



「はじめまして」より「お久しぶり」の方が良かった。


「だけど聞きたくないんだもん!」



花音はカイトの手を振り切って玄関に向かった。



――わたしどうかしている・・・。



黒のローヒールを履いて玄関を飛び出した。


「花音ちゃん!」