そのうち警察がしのぶを狂人扱いする様にと、どんどん脚色してゆき、しまいにはあんな話になったという。
「まったく、頭おかしいのはどっちだっての」
あきれ返るあたしに対し達郎は
「そう言いながらも話に引き込まれてたじゃないか」
と意地の悪い笑みを浮かべた。
「あ、あれは横倉と東の話術が…」
そう反論しようとしたものの、説得力が伴わないのは自分が一番よく分かっている。
「じゃあ達郎はどう思ったのよ」
あたしは苦し紛れに聞いてみた。
「吉原しのぶは本当に自分が殺される夢を見たと思う?」
達郎はしばし考えてからこうつぶやいた。
「現実は夢、夜の夢こそ真実」
現実(うつしよ)は夢、夜の夢こそ真実(まこと)?
不思議な響きを持つその言葉に、あたしは呆気にとられた。
「なんなのそれ?」
「日本ミステリ界の大御所・江戸川乱歩が残した言葉だ」
達郎いわく、江戸川乱歩は生前サインを求められると、必ずこの言葉を書いたという。
「まったく、頭おかしいのはどっちだっての」
あきれ返るあたしに対し達郎は
「そう言いながらも話に引き込まれてたじゃないか」
と意地の悪い笑みを浮かべた。
「あ、あれは横倉と東の話術が…」
そう反論しようとしたものの、説得力が伴わないのは自分が一番よく分かっている。
「じゃあ達郎はどう思ったのよ」
あたしは苦し紛れに聞いてみた。
「吉原しのぶは本当に自分が殺される夢を見たと思う?」
達郎はしばし考えてからこうつぶやいた。
「現実は夢、夜の夢こそ真実」
現実(うつしよ)は夢、夜の夢こそ真実(まこと)?
不思議な響きを持つその言葉に、あたしは呆気にとられた。
「なんなのそれ?」
「日本ミステリ界の大御所・江戸川乱歩が残した言葉だ」
達郎いわく、江戸川乱歩は生前サインを求められると、必ずこの言葉を書いたという。


