月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る

「この部屋の玄関は鬼門で、おまけにバスルームが北にある。それだと仕事運が下がるから、だから引っ越しを考えたんだろう」

「本当なの?」

目を丸くしたあたしに向かって達郎は

「いや、冗談だ」

このヤロウ。

あたしが突き刺した視線を無視して、達郎はクローゼットに歩み寄った。

「引っ越しの件について横倉は?」

あたしは首を振った。

いろいろ調べているうちに横倉に話を訊こうと思い、会社に電話をしてみたものの、外出中とのことだった。

「じゃ吉原しのぶの収入と支出は?」

「吉原しのぶの平均月収は…」

あたしは手帳に記した数字を読みあげた。

「22歳のOLと比べたら上だけど、特に多いとも言えないわね」

ボーナスが無い分、年収はあたしより上だ。

競うもんでもないが。

「レミはブランド物とか持ってる?」

「そりゃあね」

あたしはうなずいた。

達郎はクローゼットを開けた。