月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る

そう返事をした後で、あたしはかなり動揺した。

「どどどどうしてあたしの考えてることが分かったの!?」

「『ど』が多すぎ」

そこツッコまなくていいからっ!

「横目でちらっと見たらレミの眉間にシワが寄ってた」

達郎は小さな笑みを浮かべながらポー全集を閉じた。

「眉間にシワが寄ったということは、なにか不快なことでも思い出したんだろう」

―今は捜査の最中だから不快なこととは事件に関したことだろう。

(あたしたちは)直前まで、吉原しのぶの言動について話をしていた。

そのことで不快もしくはそれに近い感情を抱くとしたら、謎の男に喉を切り裂かれるという、あの夢の話に行き着く。

「そしてその夢のことを思い出しながらオレを見たということは…」

「もう分かったわよ」

そう言ってあたしはタメ息をついた。

まったく、うかつに眉も動かせやしない。

まぁ、そんな達郎を頼りにしてるあたしもあたしだけど。