月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る

達郎の言葉につられるように、あたしは公園入口の街灯に目をやった。

「街灯があるからなんだっていうの?」

「仮に、小林巡査の見た不審者が吉原しのぶを殺害した犯人だとしてみる」

「うん」

「そして小林巡査が公園に着いたのが犯行直後とも仮定してみる」

うんうん。

「巡査の話によると、人影に気付いたのはバイクを降りた後だ」

「それで?」

「つまり巡査が公園に着いてからしばらく間があったワケだ」

あたしはちょっと考えてから、あっと叫んだ。

「なぜ犯人はすぐに逃げなかったのかと言いたいワケね?」

達郎はうなずいた。

「もしオレが犯人だったら、バイクの音がして、公園入口の街灯に警官の姿が照らし出された時点で逃げる」

バイクを降りるまで様子をうかがったりはしないー達郎がそう続けると

「た、確かにそうであります…!?」

気付いた事実に対して、小林巡査は狼狽した。