月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る

「気にしても仕方ないですよ」

あたしは気休めに聞こえないように言った。

すると横にいた達郎がやおら柵に向かって歩きはじめた。

「達郎?」

声をかけても答える気配はない。

仕方なく小林巡査と一緒に後についていった。

吉原しのぶの遺体があったブナの木の横を通り過ぎて、柵の手前で立ち止まる。

「あなたはどうして不審者に気付いたんです?」

突然振り向いた達郎に、あたしも小林巡査も驚いて思わずのけぞった。

「レミ、ふざけてるんじゃない」

だっ誰のせいじゃい!

「自分が不審者に気付いたのは人影が動くのを見たからであります」

うわ、反応早っ。

警官の鑑だわこの人。

「人影が動いた…」

達郎は唇を尖らせた。

視線は公園の入口に飛んでいた。

「事件当夜もバイクで公園に来たんですよね?」

小林巡査はそうですと答えた。

「公園の入口にはああやって街灯がある…」