月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る

「ありがと」

とりあえず笑顔を返しておく。

「明日はどうする?」

「明日は午前中に講義があるから、捜査は午後からだな」

「わかった」

あんたちゃんと学校行ってるのねというセリフは余計だと思ったので飲み込んだ。

「なにか調べおくことはある?」

「吉原しのぶの収入と支出が知りたい」

は?

「あと引っ越しを予定してなかったか調べといてくれ」

「調べとくけど…」

理由を訊きたかったが、どうせ教えてくれまい。

「あと遺体を発見した巡査にも話を訊きたいな」

「わかったわ」

あたしたちは明日の午後イチ、事件現場の公園で待ち合わせをした。

「じゃ、お疲れ」

そう言って手を振ろうとした達郎は、手の中にあった洋子の名刺を思い出したように見えた。

その証拠に達郎は再び迷惑そうな顔をした。

あー、もうっ!

あたしは達郎の手から名刺をもぎ取ると、

「こっちで処分しとくわよ!」

と怒鳴りつけた。