月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る

「あんな美人と知り合う機会なんてなかなか無いわよ」

「別に。美人ならいつも見てるし」

へ?

達郎の視線はあたしに向いていた。

「なにを…」

そう言いかけた時、携帯が鳴った。

捜査本部からだった。

電話をかけてきたのは上司の岸警部。

二、三のやりとりの後、あたしは電話を切った。

「東久志のアリバイが更に確実になったわ」

捜査陣が聞き込みを続けたところ、昨夜11時ごろタクシーを拾う東を見掛けた人物を見つけた。

しかも複数。

「コンパ帰りの学生グループが東を見たっていうのよ」

「東との接点はありそうな連中か?」

「全然なし」

「だろうな」

「あたし署に戻るわ」

今から捜査方針を練り直すそうだ。

「こんな時間から会議なのか。大変だな」

「それが刑事の仕事よ」

そう答えると、達郎の顔に笑みが浮かんだ。
「さすがレミだな」

…。

なにがさすがなのか良く分からなかったが、元気は出た。