語り終えた東の顔から人なつこさは消えていた。
あたしは知らないうちに手のひらにびっしょり汗をかいていた。
あたしがこの話を直接きいたのはこれが初めて。
鬼気迫る内容とはこれのことだと思った。
隣の達郎に目をやると、唇を少し尖らせていた。
考えごとをする時にやる癖だ。
「それでその後、東さんはどうしたんですか」
達郎の問い掛けに対し
「夢中で走ってたら大通りに出たので、そこでタクシーを拾って店に行きました。逃げ込んだと言ってもいいかもしれません」
東は力なく笑った。
「あまりにも恐ろしくて、それを忘れようといつもより酒を飲んでしまいましたよ。後で社長からえらく怒られました」
「タクシーを拾ったのは何時ごろでしたか」
「よく覚えてませんが、たしか11時を少し回ってたかと」
達郎はその通りかと確認するようにこちらに視線を向けた。
あたしはうなずいた。
東が大通りでタクシーに乗ったのは11時5分。
あたしは知らないうちに手のひらにびっしょり汗をかいていた。
あたしがこの話を直接きいたのはこれが初めて。
鬼気迫る内容とはこれのことだと思った。
隣の達郎に目をやると、唇を少し尖らせていた。
考えごとをする時にやる癖だ。
「それでその後、東さんはどうしたんですか」
達郎の問い掛けに対し
「夢中で走ってたら大通りに出たので、そこでタクシーを拾って店に行きました。逃げ込んだと言ってもいいかもしれません」
東は力なく笑った。
「あまりにも恐ろしくて、それを忘れようといつもより酒を飲んでしまいましたよ。後で社長からえらく怒られました」
「タクシーを拾ったのは何時ごろでしたか」
「よく覚えてませんが、たしか11時を少し回ってたかと」
達郎はその通りかと確認するようにこちらに視線を向けた。
あたしはうなずいた。
東が大通りでタクシーに乗ったのは11時5分。


