あの時の私はまだ涼の性格の一部しか知らなくて。

馬鹿でチビでハナタレで、
恋の『こ』文字も知らなかった。

本当に鈍感すぎて、
自分が鈍感というのにも気付かないほど鈍感で。

『君は僕のものだよ』

まさかあんな歳で、
あんなキザな台詞言われるなんて。

考えもしていなかった。

だって、私の幼馴染みだから。


 LOVE IDIOT
  ブラックアウト


「あーあ!また増えちゃったね、『男前』フレーズ」

「なんか日に日に増えてるよね・・・」

あの泥棒事件以来、私の机は毎日汚くなってくばかり。
『愛羅武勇』とか『嫁に来ないか?』とか。



油性ペンで書いてんじゃねぇ!!



私は机をさする。

「なんでこうなるかなぁ・・・?」

「そりゃしょうがないよ、だってアンタ男前だから」

「好きでこうなったんじゃないもんっ!!(泣)」

自分を呪うよ・・・
いや待てよ・・・?



全部これ涼のせいじゃんっ!!



そうだよそうだよ!
登校初日なんて机にびっしり書かれたラブフレーズ達のせいで、その翌日は私の机だけ変えなきゃいけなくなったし?

でも今になっては良い思い出・・・

「なわけないでしょっ!!!(鉄拳)」





「きゃっ!?ち、ちょっと気を静めて宮比ちゃん!」





「(え?)」

「藤堂さんっ」

いつの間にか隣には同じクラスの藤堂さんがいた。
と、藤堂さん・・・いつ見てもお綺麗で・・・!

「(あなた様の髪は絹糸で出来ているのでしょうか!?)」

「相変わらず藤堂さんって綺麗だよねぇ!いーなー!!」

「な、なに言ってんの?!みんなの方が可愛いじゃない///」



そして照れる藤堂さんもツボ!(照れ顔大好き)



「えー、髪とかめっちゃ細くて綺麗じゃないっすかー」

「そ、そんなことないよ!私の場合、細すぎてボタンとかに絡まるの!」

「(あー、そっかー)」

私は藤堂さんの髪に触れると、凄く硬かった。
確かにこれなら細いし硬いし、どっかに絡まっちゃいそう。