記憶を失くして、



私はひとつだけ


まだ分からないことがあった。




「私って両親いないんですか??」


看護婦さんに聞いてみる。



「あ…。」


看護婦さんは、何やら言いにくそうに下を向いた。


いるなら見舞いくらいくるでしょ普通。



「私、別に何も思いませんから…言ってください。」



私はそう言って笑ってみせた。