もしハルくんが、私との約束を忘れて私を思って居なくて

日本に戻って来なかったとしたら、私の記憶の鍵は開かなかったかもしれない。


ハルくんが日本を発つあの日
もう一度ちゃんと会える様に大切な思い出に鍵を掛けてちゃんと開けに来てねって

無意識に鍵をハルくんに託したみたいね。

それまで自分が1人でも頑張れる様に。


でも私は鍵の存在まで忘れて、何を待っているのかも忘れて


ただ出口を探してるだけ


ただずっと自分が傷付かない様にしてきただけ


前も見ないで同じ場所に止まってただ生きてた。



でもこれからは違うね。


ハルくんに再開して自分を見つめ直せたように


前に向って進んで行ける。




隣りに居るハルくんをそっと見上げて見る。


歩く度に揺れる短めのサラサラな髪は昔と変わらないままだけど


私の手を包む手は、おっきくて優しさが増した。


ゆっくり私の歩幅に合せて隣りを歩いてくれるハルくんがいるから


遅れない様に


見失わない様に




一緒に歩いて行けますように。