「アンタ、本当に家賃取るわよ?」
「払ったら一緒に住んでえぇってこと?」
目を輝かせた俺に、彼女は呆れた様子で肩をすくめる。
相変わらず俺はレイコさんのこと適当に口説くし、そんで怒られて終わり、みたいな。
「迷惑だからさっさと仕事行きなさいよねぇ?」
「レイコさんは?」
「あたしはお昼からよ。」
そのくせ嶋さんと一緒で早起き好きやなぁ、とは言わへんかったけど。
「なら、俺まで起こさんといてや。
寝たばっかやったし俺、もう一眠りするわ。」
「ご飯、どうせ食べないんでしょ?」
「んー。」
俺はレイコさんちで、コーヒー以外を口にしたことがない。
それは食べ物もやけど、理乃の飯以外はどうにも、食べる気にならへんねん。
例え冷めてても、見るからにレイコさんのが料理上手やったとしても、この5年、一度も食べたことはない。
だから彼女も、それが暗黙の了解のように、ひとり分しか作らへん。
「おやすみー。」
そう手だけをヒラヒラとさせ、俺はまた、大きなベッドにひとり突っ伏した。
理乃のことを考える度、未だにどうしようもないものに覆われている自分に気付く。
それが嫌で嫌で堪らなくて、考えてるだけで苛ついた。
幸せに出来ないから手放してやったのに、それでもまだ、俺の中に記憶としてこびりついたままのもの。
「払ったら一緒に住んでえぇってこと?」
目を輝かせた俺に、彼女は呆れた様子で肩をすくめる。
相変わらず俺はレイコさんのこと適当に口説くし、そんで怒られて終わり、みたいな。
「迷惑だからさっさと仕事行きなさいよねぇ?」
「レイコさんは?」
「あたしはお昼からよ。」
そのくせ嶋さんと一緒で早起き好きやなぁ、とは言わへんかったけど。
「なら、俺まで起こさんといてや。
寝たばっかやったし俺、もう一眠りするわ。」
「ご飯、どうせ食べないんでしょ?」
「んー。」
俺はレイコさんちで、コーヒー以外を口にしたことがない。
それは食べ物もやけど、理乃の飯以外はどうにも、食べる気にならへんねん。
例え冷めてても、見るからにレイコさんのが料理上手やったとしても、この5年、一度も食べたことはない。
だから彼女も、それが暗黙の了解のように、ひとり分しか作らへん。
「おやすみー。」
そう手だけをヒラヒラとさせ、俺はまた、大きなベッドにひとり突っ伏した。
理乃のことを考える度、未だにどうしようもないものに覆われている自分に気付く。
それが嫌で嫌で堪らなくて、考えてるだけで苛ついた。
幸せに出来ないから手放してやったのに、それでもまだ、俺の中に記憶としてこびりついたままのもの。


