鴨居が黙っていると大川は、そんな鴨居の不安や怒りを気にする様子もなく続けるのだった。

「どんな方法であれ、カモ君の連絡先を知りたかったの。これって……犯罪じゃなくて、愛情だと思わない?」


その時、さすがの鴨居も堪忍袋の尾が切れた。

今までに見せたこともないような低い声で怒りを顕(あらわ)にする。

「ふざけるな!!何が愛情だ。人の携帯を無断でいじっておいて、人として最低だと思わないのか!?」

鴨居の大声に通行人が何人か振り向いた。

そして鴨居と大川の間に数秒の沈黙が流れる。





そして、大川が先に口を開くが、その内容はとんでもないものだった。


「何よ偉そうに。どうせ今日まで私と寝たことを口外されてないかビクビクしてたくせに。」

「なっ…!?」

鴨居が反論しようとするものの、大川は強引に一言だけ言い放つと電話を切ってしまった。

「23日の午後1時にこの前のファミレスで待ってる。もしこなかったら、どうなるか分かるよね?」


『ブツッ。ツーツーツー…』


鴨居の手が怒りに震える。

しかしそのことすら気付かないほどに鴨居は怒りに満ちているのだった。