メグの葬儀は鴨居と鴨居の両親、養母と養父。

そして退院したばかりの雛のたった六人で彼女の最期を見送った。

遺影には鴨居の見たことのない、本当に最近のメグの写真が飾られた。


のちのち、メグの家に行ったときに一冊だけの薄いアルバムを見つけた。

そこにはメグの出産までの半年の日常が写されていた。

少しずつ膨らんでいくメグのお腹。

そしてアルバムはページをめくる程に、養母や養父と写る写真が増えていった。

メグは最後にやっと手にしたのだった。

幸せな家族を。その日々を。

ほろり一粒、涙がアルバムに落ちると。

「オギャア。オギャア。」

父親が泣いているのが分かったのだろうか、雛が小さな身体を目一杯使って大きな声で泣いた。

「よしよし。雛ちゃんどうしたのかな?」

抱き上げると、雛が鴨居の頬を掴んだ。

流れた涙が気になったから掴んだだけかもしれない。

それでも鴨居には雛が自分の涙を拭ってくれた様に感じてならなかった。

「雛……泣かないでって言ってるの?それで泣いてオレを呼んでくれたんだね?」

一粒だけ先に落ちた涙の跡を伝うように、延々と涙が流れ出る。

涙は雛をくるんでいたタオルに落ち、染み込む。

「ゴメン雛。すぐ泣き止むから。」

抱き締めた雛が鴨居の腕の中で、ホギャアと笑った。

「アリガトウ雛、パパまたちゃんと歩きだすから。」

抱き締めた小さな身体の中では確かに力強く心臓が命を刻んでいた。