メグの病室へと戻ると、養父と養母がメグを挟む様にして座り、両方から手を握っていた。

「お義父さん、お義母さん。今、雛を見てきました。本当にすやすやと眠ってて、メグの寝顔にそっくりだった。」

振り向いた養母の顔は涙でくしゃくしゃになってしまっている。

「ひな……?」

養父が聞くと、鴨居はあの時の何気ない瞬間を思い出しているのだろうか、笑顔で言う。

「メグと決めた赤ちゃんの名前です。」

「雛……そうか、雛か。良い名前だ、なぁオマエ?」

養母は声を出せずにひたすらに頷いた。

鴨居は養母の傍に寄り添い背中をさすってあげた。

あれほど気さくで強かった背中が見る見る小さく見えて、力なく震えていた。