病室のベッドに静かに横たわるメグ。
「メグ?メグ!?」
駆け寄った鴨居がメグの手を握る。
まだほんの少しだけ温かかった。
「メグ起きろよ。赤ちゃん産まれたら三人で一緒にって。お義父さんお義母さんもいれて五人で一緒に写真撮ろうって言ってただろ?ほらポラロイドだけど買ってきたんだ。」
バッグから取り出した使い捨てのカメラをメグに見せる鴨居。
返事はない。
「鴨居くんメグはもう……」
養父が駆け寄り、鴨居を落ち着けようと背中をさするが、鴨居は腕でそれを振りはらった。
「聞きたくない。聞きたくない!!」
子供の様にだだをこねる鴨居を無理矢理に自分の方へと向かせた。
「鴨居君。メグはもう死んだんだ。」
ぐっと歯を噛み締める養父。
鴨居は理解ができずに首を振る。
「だってまだこんなに温かいのに。だってこんなに綺麗な顔をしているのに。だって……こんなに…………」
養父は静かに首を振る。
認めたくない事実は否定することなど叶うはずもなくて。
鴨居は腰を抜かしたようにへたりと座り込んだ。
「何で?赤ちゃんはあんなに元気なのに、それなのに何で?」
鴨居の震える小さな声が病室にいた養父にだけ聞こえた。



