そして佐野の結婚式当日となった。


「会場は埼玉か。案外近いから当日にゆっくり移動できるのは良いな。」

鴨居は唯一の正装である大学の入学式で一度だけ袖を通した慣れないスーツ姿で電車に揺られていた。

鴨居はカバンに入れていた披露宴の座席表を取り出す。

「先生……杉宮先輩は呼ばなかったんだな。」

何度も何度も確認したが、座席表に杉宮と言う文字は見当たらなかった。

「結婚式か……」

メグとの挙式を頭で思い浮べてみるのだが、なにせ結婚式になんて一度も出席したことのない鴨居である。

とても想像などできなかった。