放浪カモメ

なんだか良くわからないが鴨居は養母、養父と三人で朝食を取った。

しかし緊張と混乱のせいであまり料理は喉を通らなかった。




「さて……と。お互いに少し落ち着いたところで話しようか。」

リビングのソファーに座る三人。

鴨居は二人と向き合う形で座る。

「率直に言わせてもらと、やはり真理恵を君と一緒に行かせるわけには行かない。」

養父の落ち着いた声。

その静かな響きの中に、絶対的な揺るぎない気持ちだという事が伝わる。

「ただ勘違いして欲しくないのは、避妊しなかったことを責めているわけでも、ほんの少しの時間しか共にしていない君と真理恵の気持ちを否定するわけでもないということだけは分かって欲しい。」

その言葉が嘘でも偽りでもないことは、養父の人柄を見ていれば明らかだった。

しかし鴨居に納得できるわけなどなかった。

それでも、事実を否定する言葉などなく、鴨居の拳は行き場を無くし震える。

「真理恵はまだ高校生だし、鴨居君あなたも確か大学生でしょ?現実を見て。今のあなたには真理恵を養っていくことはおろか産まれてくる子供を育てることは出来ない。そうでしょう?」

大学すら両親のお金で通わせてもらっている現状。

アルバイト代だって携帯料金と生活費にほとんど消えてしまう。

そこから二人を養い生活することなどできるはずも無かった。

が、鴨居だって何の覚悟もなしにメグを追いかけ続けていたわけではない。

「オレは学校を辞めて働きます。確かに苦しいかもしれない、お金に困ることだってあるかもしれないけど。けど――オレはメグと一緒に生きていきたいんです。」

揺るぎない覚悟。

認めてあげたいのは二人にしてもやまやまだが、愛する娘の幸せがこの選択にはかかっている。

「それで、真理恵は子供は本当に幸せになれるのかい?」

ずしっと重くのしかかる言葉。

それで自分は満足かもしれない。幸せになれるのかもしれない。

でもメグは――?

産まれてくる子供は――?

本当に自分の考えている未来図で幸せになれるのか?

そうであって欲しいとは願えても、そうであると断言できずに鴨居は黙ってしまう。