放浪カモメ

インターホンが切られた後も鴨居はその場で立ち尽くした。

流れ出る涙も、土砂降りの雨に飲み込まれていく。

全身から力が抜け、鴨居はその場に力なく座り込んだ。





メグのいるリビングへと戻った養母。

「ママ、お客さん?大きなこえだしてたけど何かあった?」

小さな声でメグが聞く。

「ううん。すごいしつこい勧誘をする新聞屋さんだっから、ちょっと声が大きくなっちゃった。」

微笑む養母。

「それよりも温かいミルクと甘いクッキーを持ってきたわ。少し落ち着くから食べなさい。」

そう言って、ホットミルクとクッキーを渡した。

メグはホットミルクを手に取ると、少しだけすすり、「美味しい」と呟いた。