「いいですか?これだけは約束してください。」
真剣な表情で前園は言う。
「もしあなたがメグに会えたとして、彼女があなたが望むものとは違う答えをだすのであれば、すぐに身を退きなさい。」
どしっと重い言葉が鴨居にのしかかる。
それは理解しているが、分かりたくないこと。
理解しなければならないけど、どうしても認めたくはないもので鴨居は反応することができなかった。
「あなたが大阪まで来て、必死に彼女のことを思い、探し続けていたことは認めます。しかし、世の中には踏み行ってはいけない事情というものがあるんです。」
前園の厳しくも優しい口調に、やっと鴨居はこくりと僅かに頷いた。
「そして、もし彼女があなたの望む答えを出したなら、どうか恥ずかしがらずに今のあなたの気持ちをそのまま、決して減らさずにそして飾らずに伝えてあげてください。」
最後ににこっと笑った前園。
仕事があるから、とすぐに部屋を後にしてしまったが、鴨居は居なくなった前園に何度も何度も頭を下げた。
帰り際に越智が二枚の写真を渡してくれた。
幼き日のメグの写真。
それを手に鴨居はメグの元へと向かっていく。



