前園に教えてもらった住所へと向かう鴨居。

走りだしたタクシーの側面を降り出した大粒の雨が、音を立てて叩く。

ぼやける窓の向こう。

手を伸ばした先にもうメグはいる。

そう思うと、少しくらい制限速度を上回るこの車ですら、遅く思えてしまった。

「お客さん着きましたよ。」

運転手さんの声で目が覚めた鴨居。

ずっと気を張りっぱなしで、ようやくメグの情報を手にすることができて、緊張の糸が切れてしまったようだ。

鴨居はお金を払うと、タクシーから出る。

目の前には白い壁に囲まれた豪華な家。

鴨居は深呼吸をするとインターホンを鳴らした。