「……………。」

「……………。」

「……………。」

昨日の喧嘩があからさまに尾を引き、むすったれている悠太と悠美。

そしてそんな間になぜか入ってしまって、一人ひもじい思いをしている鴨居との間に、沈黙が流れていた。

「あの……」

沈黙に耐え切れなくなった鴨居を睨む二人。

鴨居は泣く寸前。

「そろそろオレ、メグのこと探しに行こうと思うんですけど。」

ようやく何故鴨居が自分の家にいるのかを思い出した二人が我に返った。

「せや、鴨居くん人探しで家に来たんやったな。手がかりとかあるん?」

「メグは児童養護施設で育ったって言ってたんで、手当たり次第に大阪の施設を当たってみます。」

鴨居の手には昨日のうちに悠美のパソコンを借りて調べた、大阪にある児童養護施設の地図のプリントが握り締められていた。

「あんまり遅くならんうちに帰って来や?焦らずじっくり、な?」

悠太は鴨居を本当に心配してくれていた。

鴨居が暴走して居なくなったりするのではないか、それだけが心配だった。

「うん、それじゃあ行ってきます。」

「行ってらっしゃい。気を付けや。」

二人の声に見送られて鴨居は雨のあがった街へと飛び出していった。