「こんにちは。ちょっと良いかな?」
肩をぽんと叩かれたのでオレは振り向いた。
「ねぇ、君。オレらボクシング部なんだけどさ。人数足りなくて廃部になりそうなんだよね。」
そこにいたのは数人のガタイの良い強面の人達だった。
「いや…でもオレ。格闘技は向いてないんで。」
断って先に進もうとすると行く手を阻まれ、肩に腕を回される。
「向いてる向いてないなんてやってみなきゃ分かんないじゃん。とりあえず部としての認可が出るまでいてくれりゃそれでいいから、な?」
回した腕でオレの動きは完全に制御された。
ギリギリと腕に力を入れながら話すその人達は、オレを確実に威嚇(いかく)している。
「いや…でも。」
それでも断ろうとした時。完全に態度が一変した。
「分かんねぇヤツだな。痛い目みるまえに入っちまえば良いだろうがよ。あ?俺らなんか間違ったこと言ってるか?」
肩をガッと掴まれてしまって、恥ずかしいことにオレは内心かなりビビってしまっていた。
そして諦めて入部しようとした時だった。
その人が現れたのは――



